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甲斐犬オーナーに聞く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊豆半島で釣具店を営んでらっしゃる甲斐犬オーナーのK氏。

甲斐犬って本当に頭のいい犬なんですよね。Kさんは、数頭の甲斐犬と一緒に生活しています。夏は、海で釣りや素潜り、秋冬は、鹿や猪の狩りに出かけたりと、 

狩りと遊びのエキスパートです。家族であり、よきパートナーである甲斐犬の魅力について語っていただきました。

 

甲 斐犬の魅力はなんといっても飼い主への従順さです。その魅力が特に発揮されるのは、やはり、山に猟に行く時です。最近では、複数の犬を連れグループで山に 入り、猟をするひとが大勢いますが、私は、1頭の甲斐犬と自分だけで山に入ります。1対1で行動することにより、犬も誰がリーダーなのかをより意識し、犬 とひとの意思疎通がとりやすいので、私は犬とふたりで山に入るのが好きです。また、甲斐犬の容姿は、夏は黒毛が際立ち、冬は茶色の虎毛が際立ちます。動体 視力には長けていても、色の識別が得意でない鹿や猪は、夏は黒く、 冬は枯れ木のカムフラージュになった虎毛の甲斐犬が、そばまで近づいていっても、なかなか気づきません。 そして、これは甲斐犬の性格・気質によってもと ても異なりますが、いわゆる「深追いをしない」自分の力量をわかっている甲斐犬は、猟のパートナーとして最高です。

 

私 は数年間、満12歳となる雌犬・ノコとよく山に入りました。ノコは、獲物を見つける と、物音を立てず、私のところに戻ってきます。まさに、その姿は獲物をみつけたことを報告にきています。身体いっぱいで喜びを表現しているノコは、まるで 「おとうさん!おとうさん!大きな猪があっちにいたよ!」といわんばかりです。

若き日のノコ。甲斐犬愛護甲斐の大会で1位を受賞した素晴らしい甲斐犬。

ノコは、甲斐犬愛護会主催、甲斐犬愛護会大会にて、1席(1位)を受賞しています。個人的には、受賞に固執しているわけではないのですが、やはりなにかいただくのは嬉しいものです。最近では、展覧会には参加はしませんが、観に行くことはあります。

そ んな中、古い資料で、とても興味深いものがあります。写真は、昭和10年3月に、山梨県で開催された、甲斐犬の大会の様子です。地上数メートルの上を勇敢 にあるく甲斐犬の様子が見られます。非常に興味深く、思うと同時に、やはり高所での歩行が審査基準というのは、甲斐犬の特徴を熟知しているがゆえの大会の ように思います。

 

 

そのノコの血統を継ぐ雄犬・タケもまた、勇敢でかつし なやかな甲斐犬です。ここで言う、しなやかというのは、獲物の前で、するりと身をかわしながら、追い込んでいくその姿です。甲斐犬の手足はとても柔らかで 軽やかです。そして、その肢体は山間部、岩場、高所を歩くのに適しています。爪が長いのは、まさに甲斐犬の特徴です。私は、この土臭く、朴とつな雰囲気、 そしてこの素朴な甲斐犬が好きです。

ノコの血統を継ぐ赤虎の甲斐犬タケ

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